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2022年度 京都賞

映画監督・映像作家の速水です。

本年も光栄なことに稲盛財団様の京都賞の動画の制作を総合演出で参加させていただきました。
世界で著名の偉人・先生・アーティストへの取材、彼らの研究や人生観をヒアリングし1年かけてじっくりと丁寧に仕上げていく、素晴らしい体験をさせていただきました。

世界各国、それぞれの文化や風習や言語が異なり、感性も様々です。
各国のローカル撮影班との調整も、感覚が違うので多種多様。本当に勉強になる現場でした。

世界で映像を制作し続けて20年近くになるわけですが、毎回新しい何かに出くわすというのがグローバルコンテンツ制作の醍醐味とも言えます。

特に京都賞はとても大きなイベントであり、それぞれの取材対象となる偉人への細かな配慮、特にヒアリングの際に彼らの意図や価値観を、間違って解釈していないか?
より的確に表現する方法は何か?そういったことを考えながら丁寧に丁寧に進めていきます。
相手へのリスペクトはもちろん、彼らの偉業をしっかりと映像的にサポートできてるのかどうか?総合的なバランスがとても大切です。

昔はNHKの総合演出をしたり、VICE JAPANの立ち上げ時にはプロダクションのまとめ方、特にリサーチや制作部の編成など色々と相談を受けたものですが、
どの場合でも共通していることが、クリエイティブで自由なフットワークの軽さをキープしながら、映像表現の質を高いところで維持するか?というところです。

特に日本以外の海外の映像作品への理解というものはだいぶ違うものがありまして、物語や背景を大事にしています。
映像的に説明的なカットで分からせるのではなく、ストーリーの流れの中で、コンテキストやサブテキストの中で、感情的に表現することです。
これは映画に似ています。そしてやはり海外では映画へのリスペクト、映画から生まれた映像文化への深い理解が、真相意識の中にあるのでしょう・・・きっと。

本年度の京都賞の受賞者のカーヴァー・ミード氏の言葉が今年一番心に響きました。
意訳になりますが「大切なことは本質だ。ディテールというのは後からついてくる」

ロジカルな説明的な映像作りというものはいつはディテールを見ているようで、総体的に見たときにはとても偏ることが多々あります。
ストーリーラインというものは感情的表現ですし、すごく曖昧なニュアンスを含みます。
ですから的確に表現できているか?という正確性に相反する関係にあるように見えるのですが(表層的には)
しかし、俯瞰してみた時に実に重要なエッセンス「本質」を見ている可能性があるのです。

映像や映画だからこそ可能な表現方法です。
故にこの仕事がやめられません。

1年かけて関わらせていただいた京都賞の関係各位に心より感謝致します。

PS 合間に無農薬のお米づくりをしているのですが、今年は豊作になりそうです。

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