actrs

ブログBlog

コロナ禍での海外ロケ

コロナになり、多くの海外企業が日本での撮影を断念。同じく日本の企業も海外での撮影が困難となった。ちょうどその頃、ネットフリックスが日本に浸透し始めたのを記憶している。 知人が当時副社長を務めていたこともあり勝手に縁を感じていたのでその動向を見守っていた。 さてコロナ禍での海外撮影はリモートが主流になったのですが、今日はその経験などをまとめてみたいと思います。項目ごとにわかりやすくまとめようと思ったのですが、かなり入り組んでしまいそうなので、映像制作の流れに沿って書き進めようと思います。

コーディネーター

撮影地が決まっている場合がまずはほとんどです。その国にある現地のコーディネーターの会社をリストアップするところからでしょうか。日本のクライアント仕事であれば日本のコーディネート会社が当然好まれます。コロナなので当然全てZOOM会議で進行。一昔前であれば国際電話とメールのやりとりだったので圧倒的にスムーズです。ある意味誰でも簡単に海外ロケができる時代だと思います。 コーディネーターという呼び名が日本では主流で、この人物が現地を取りまとめてくれる。フリーランスも中にはいますが規模によっては会社に依頼する方が責任問題などを考えると安心。さらにコーディネーターの会社の方が複数のスタッフがいるので連携プレーやチームプレーには非常に有効です。余談ですが、海外クライアントの仕事が日本に来る際に案外フリーランスの方に話がいくケースは多いです。もちろん大規模な撮影では事前準備に予算がかかるため難しいこともありますが。

 

ちなみに英語圏ではコーディネーターさんをフィクサー(調整役)と呼んでいます。撮影するロケ地や被写体との交渉などフィクサーにお願いすることになるのですが、これもケースバイケースで別ルートで交渉した方がうまくいく場合も多々なので全てをフィクサーに一任することは私はしないようにしています。私も海外生活や海外での映像の仕事の経験で知っていることなのですが、欧米の場合、日本に比べて横の人間関係のつながり、感情的つながりをとても大切にすることが多いようです。ひとくくりにしてはいけないのですが、アジア圏は割と日本と同じくオフィシャルなルート、つまり社会的立場や地位の縦社会を優先するロジックが大切になることが多いようです。これはもちろん全てケースバイケース。

 

チーム編成が重要

撮影の準備で私がとても大切にしているのがチーム編成です。ここに全てかかっていると言っても過言ではないと思っています。そのためにZOOMを使って海外とMTGできるということは本当に素晴らしいことだと思います。まずフィクサーと言ってもいろんなフィクサーがいます。書面が上手な人、口(交渉)が上手い人、カメラや照明など技術的なノウハウも少しある人、ケータリングなどが得意な人、準備でガチガチに物事を事前に決め込みたいタイプの人、現場での変化に柔軟に対応できる人、それぞれ違います。ここで私が重要視する要素は、フィクサーが取材する対象者にインタビューや質問をできる経験値や自信があるか、またインタビュー内容のフィールドについて詳しいか、または勉強したいという思いがあるか。というのも実際のところフィクサーはインタビューアーではありません。当然です。しかし多くの海外ロケで経験したこと、また海外のクライアントが日本国内での撮影を行う際にやりがちなこと、それはフィクサーに「ついでに」翻訳や通訳をお願いしたりインタビューをお願いすることです。理由は至ってシンプルで、撮影日までの調整のほとんどに関わっているフィクサーと現地の被写体が会話する方がスムーズに決まっているからです。ただし、過去に多く見たのですが、フィクサーはフィクサーであってプロの通訳ではありません。撮影中に辿々しい通訳になってしまったり、フィクサーにプレッシャーを与えている「よくない」現場を沢山知っています。だからこそ適材適所、この部分を私はある程度事前にクリアしています。

 

ネット環境

私の場合、自分が海外に出向けずリモートで日本から指示を出す場合(ZOOMを使って)現地のディレクターをなるべく立てるようにしています。もちろん予算の関係もあるので一概には言えません。この現地ディレクターが外国人か日本人かという点も重要なポイントになるでしょう。もしフィクサーがインタビューや通訳をやらないのであれば(やらないのが当然と言いたいのですが)ディレクターにお願いすることが考えられます。私の場合、二人三脚で動いてくれるディレクターをオンラインでオーディションし決めています。そのディレクターが制作会社所属の人間かフリーか、これも仕事の内容によってはとても重要になります。このディレクターの得意分野を知ることもとても重要です。素晴らしい映像センスを持ったデイレクターなのか?(その場合テクニカルについて熟知しているケースが多い)またはドキュメンタリーなどでインタビューをしたり臨機応変にフットワーク軽く動くのが得意な人なのか?ガチガチの絵コンテありきのCMオンリーのディレクターなのか。もしディレクターがテクニカルに弱いのであれば私は撮影監督(チーフ・カメラマン)に演出のセンスがある人間をアサインするようにしています。 事前のロケハンなどもZOOMを駆使し、さらにはWhatsAppを使用してやり取りすることが多いです。当然、撮影地のネット回線状況も事前に調べる必要があります。余裕がある場合は事前に現地でシミュレーションテストを行うべきです。 リモート撮影でキーポイントになるのはやはりなんと言ってもデジタルコミュニケーションをしっかりと構築することです。

 

意外と大事な「音」

撮影地とZOOMで繋がった際に、現地の全体の様子がわかる定点カメラのようなものが必要です。さらに撮影するメインカメラのフィードもこちらに送ってもらいます。理想は複数台のカメラを回すのであれば全てのアングルをフィードでもらいます。ただし重要なポイントは「音」。メインカメラに録音部のマスターアウトのフィードを送り、バイパスしてZOOMにもらう必要があります。そうすれば当日の録音状況もしっかり把握できます。インタビューアーの声もミックスで一緒に送ってもらう必要があります。ただし現地の録音ではミックスせずにそれぞれのトラックでセパレートで録音。そしてフィクサーとディレクターの声は別のマイクで拾えるようにする。可能であればワイアレス。現地のPCのマイクでも良いのですが、フィクサーやディレクターがPCの近くにずっといられることはまずありません。その際に声が届かなくなる。私からの指示を聞くためにPCの前に居続けることは非効率的です。今書いた内容は海外からのフィードを受け取る場合の話です。

 

次に日本側、私や日本のプロデューサーやクライアントからはどうなのでしょうか?いろいろなシステムは組めると思いますが私の今までの経験上、クライアントは日本のプロデューサーを経由して現地フィクサーに伝達することが混乱を避ける鍵かと思っています。また音の配線がシンプルになります。私とプロデューサーの声が現地のPCから聞こえるようにすることも一つですが、先ほど書いたようにフィクサーやディレクターが常にPCの前にいるとは限りません。なのでフィクサーまたはディレクターどちらかにワイアレスのヘッドセットなどがあると理想ではないかと思います。トリッキーなのは、私が被写体に直接話しかけたい場合です。PCからの音では被写体が私の声を聴きづらいことが多いので、外部スピーカーを用意しておきます。地味なようでこれが結構重要です。撮影現場は常にカオスになりかねない状況です。撮影技術スタッフが黙々と作業をし、被写体を待たせてしまっているのに誰も声がけや状況説明をしない場合など。テレビであればフロアディレクターが声を張り上げる、映画なら助監督。それをフィクサーにやってもらえるのか?ディレクターにやってもらえるのか?それともADを入れるべきか?この辺りもスタッフ編成時に需要な要素です。

 

案外、映像よりも音の配線がリモート撮影時の鍵になると経験上感じています。 私個人としてはリモート撮影によって自分自身の忍耐が相当鍛えられたように思っています。

Translate »